2026年8月30日

みなさん、こんにちは。JR尼崎駅前の整形外科「まつうら整形外科スポーツ・リハビリクリニック」、院長:松浦孝紀(まつうらたかのり)です。
このコラムコーナーでは、一般的な整形外科診療でよくある症状についてはもちろんのこと、スポーツ外傷やスポーツ障害、関節リウマチ、骨粗しょう症などについて、患者さんのお役に立てる情報を発信していきたいと考えています。
はじめに

スポーツ中や日常生活で多くの方が経験する「足首の捻挫」。軽いケガと思われがちですが、実際には靭帯を損傷していることが多く、適切な治療やリハビリを行わないと再発を繰り返し、慢性的な痛みや不安定感につながることがあります。
「少し痛いだけだから」「歩けるから大丈夫」「腫れていないから放置しても平気」といった自己判断は、将来的な足関節のトラブルの原因になりかねません。
今回のコラムでは、足首の捻挫の基礎知識から応急処置、適切な治療、再発予防のためのリハビリまでをわかりやすく解説していきたいと思います。捻挫を繰り返している方や、早くスポーツや日常生活に復帰したい方は、ぜひ参考にしてください。
捻挫とは?靭帯に起こるケガ
捻挫とは、関節に無理な力が加わることで、関節を支えている靭帯や関節包などの軟部組織が損傷するケガです。骨折や脱臼のように骨がずれるわけではありませんが、靭帯が伸びたり(微細損傷)、部分的または完全に断裂したりすることで、関節の安定性が低下します。
足首の捻挫は、医学的には「足関節靭帯損傷あるいは足関節捻挫」と呼ばれ、整形外科で最も多い外傷のひとつです。特に多いのが、足首を内側にひねり、外側の靭帯(前距腓靭帯など)が損傷します。
靭帯は一度傷つくと、損傷の程度によっては、元の強度や安定性まで十分に回復しないことがあります。また、治療が不十分だと関節のゆるみが残り、再発しやすくなります。これが「捻挫を繰り返す」原因となります。
足首の捻挫の特徴や症状

足首の捻挫では、以下のような症状が現れます。
痛み
捻った直後から足首に痛みが出ます。軽症の場合は歩行可能ですが、靭帯損傷が強い場合は体重をかけられないほどの痛みが出ることもあります。
腫れ・熱感
損傷した靭帯周囲に炎症が起こるため、足首が腫れて熱を持ちます。時間の経過とともに腫れが強くなるケースもあります。
内出血(皮下出血)
靭帯の損傷が強い場合、皮下出血が起こり、足首周囲が紫色に変色します。数日後に出現することもあります。
可動域の制限
足首を動かすと痛みが出るため、曲げ伸ばしがしにくくなります。無理に動かすと症状が悪化することがあります。
不安定感
靭帯の損傷が大きい場合、足首がぐらつく感じが出ます。これは再発のリスクが高い状態です。
これらの症状がある場合、単なる軽い捻挫ではなく、靭帯の高度損傷や骨折、軟骨損傷を伴っている可能性もあるため注意が必要です。
足首を捻挫する主な原因
足首の捻挫は、スポーツだけでなく日常生活でも起こります。代表的な原因を紹介します。
スポーツ中の急な方向転換や着地
バスケットボールやサッカー、バレーボールなど、ジャンプや方向転換の多い競技では捻挫のリスクが高くなります。特に着地時に足首が内側に入ると、靭帯に強い負担がかかります。
段差や不整地での歩行
階段や段差、でこぼこした道で足を踏み外すことで捻挫が起こります。日常生活でも多い原因のひとつです。
筋力や柔軟性の低下
足首周囲の筋力や柔軟性が低下していると、関節を支える力が弱くなり、捻挫しやすくなります。
過去の捻挫歴
一度捻挫を経験すると靭帯がゆるみ、再発しやすくなります。特に適切なリハビリを行っていない場合は要注意です。
合わない靴・不安定な履物
サイズが合わない靴や、ヒールの高い靴、サンダルなどは足首が不安定になりやすく、捻挫の原因になります。
足首を捻挫した際の応急処置
足首を捻挫した直後は、適切な応急処置を行うことが重要です。受傷直後は「RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)」を基本とします。近年では「PEACE & LOVE」という新しい考え方も提唱されていますが、受傷直後は患部を保護し、腫れや痛みを悪化させないことが原則です。

安静(Rest)
まずは無理に歩かず、足首を安静に保ちます。体重をかけると損傷が悪化する可能性があります。
冷却(Ice)
氷や保冷剤で15~20分程度冷やします。これを数時間おきに繰り返すことで腫れや痛みを軽減できます。
圧迫(Compression)
包帯やサポーターで軽く圧迫します。腫れの拡大を防ぐ効果があります。ただし強く締めすぎないよう注意が必要です。
挙上(Elevation)
足を心臓より高い位置に上げます。これにより腫れを抑えることができます。
応急処置後も、以下の症状がある場合は早めに整形外科を受診しましょう。
・歩けないほど痛い
・腫れが強い
・内出血が広がる
・ぐらつきが強い
・数日経っても改善しない
骨折や靭帯断裂が隠れている可能性があります。
足首の捻挫を未然に防ぐために
足首の捻挫は、日頃の対策によって予防することが可能です。

足首周囲の筋力トレーニング
ふくらはぎや足首の筋肉を鍛えることで関節の安定性が向上します。片足立ちなどのバランストレーニングは手軽で効果的です。
柔軟性の改善
アキレス腱や足関節の柔軟性を高めることで、急な動きにも対応しやすくなります。ストレッチを習慣化しましょう。
ウォーミングアップの徹底
スポーツ前の準備運動不足は捻挫の原因になります。軽いジョギングやストレッチを行いましょう。
テーピングやサポーターの活用
過去に捻挫歴がある方は、運動時にテーピングやサポーターを使用することで再発予防につながります。
適切な靴の選択
足に合ったサイズで、足首をしっかり支える靴を選ぶことも重要です。
捻挫を甘く見ないで!再発しやすい理由

足首の捻挫が再発しやすい理由は主に3つあります。
1つ目は、靭帯のゆるみが残ることです。損傷した靭帯が十分に回復しないと、関節が不安定になります。
2つ目は、筋力低下です。痛みのために動かさない期間が長いと、足首周囲の筋肉が弱くなります。
3つ目は、バランス機能の低下です。捻挫後は関節の位置を感じる感覚(固有感覚)低下し、踏ん張りが効きにくくなります。これらを改善しないまま運動を再開すると、再び捻挫してしまいます。
捻挫を防ぐ治療とリハビリ
足首の捻挫では、痛みが引いただけで治療終了ではありません。再発防止のためには段階的なリハビリが重要です。
急性期の治療
受傷直後は安静・固定・疼痛管理を中心に行います。必要に応じて装具固定や松葉杖を使用し、靭帯の修復を促します。
可動域訓練
痛みが落ち着いてきたら、痛みの程度を確認しながら徐々に足関節の可動域を改善するリハビリを開始します。硬くなった関節の動きを回復させます。
筋力トレーニング
チューブトレーニング、つま先立ち運動、ならびにタオルギャザーなどで、足関節周囲の筋群を強化します。関節の安定性を高める重要な段階です。
固有感覚トレーニング
片足立ちやバランスボードを用いて固有感覚を改善します。再発予防に非常に効果的です。
スポーツ復帰訓練
ジャンプや方向転換など、実際の動作に近いトレーニングを行い、安全に復帰できる状態を目指します。
このように、段階的なリハビリを行うことで再発リスクを大きく減らすことができます。
早期受診が早期回復につながります
足首を捻ったあと、次のような症状がある場合は、骨折や靭帯断裂を伴っている可能性があるため、早めに整形外科を受診しましょう。
・歩けないほど強い痛みがある
・腫れや内出血が強い
・足首が変形している
・足首がぐらつく
・数日~1週間経っても改善しない
・同じ足首を何度も捻挫している
足首の捻挫は「軽いケガ」と思われがちですが、適切な診断と治療を受けることで、早期回復だけでなく再発予防にもつながります。
当院では、レントゲン検査や超音波(エコー)検査などを用いて、骨折の有無や靭帯損傷の程度を評価し、損傷の程度に応じた適切な治療を行っています。
また、再発を繰り返している方やスポーツ復帰を目指す方には、一人ひとりの状態にあわせたリハビリテーションを実施し、安全な競技復帰をサポートしています。
当院での診療について
当院では、スポーツによるケガの診療から競技復帰、再発予防までを見据えた診療を行っています。
診察は、日本整形外科学会整形外科専門医、スポーツ認定医に加え、Functional Movement Screen(FMS)ならびに、Selective Functional Movement Assessment(SFMA)資格を有する医師が丁寧に診察を行い、ケガそのものだけでなく、ケガにつながった身体の動きや機能まで評価します。
リハビリテーションは、FMS/SFMAの資格を持っている理学療法士が担当し、痛みの改善だけでなく、フォームや身体の使い方まで確認しながら、再発しにくい身体づくりをサポートします。
また、必要に応じて超音波治療機器や微弱電流治療器なども活用し、組織の修復を促しながら早期回復を目指します。
医師と理学療法士が連携し、一人ひとりの症状や競技特性に合わせた最適な治療・リハビリを提供しています。
最後に
足首の捻挫は、適切な治療とリハビリを行わないと再発しやすいケガです。軽症と思って放置すると、慢性的な不安定感につながり、スポーツや日常生活に支障をきたすこともあります。
再発を防ぐためには、
・捻挫直後は適切な応急処置を行う
・痛みが軽くても自己判断せず整形外科を受診する
・段階的なリハビリを最後まで継続する
・筋力やバランス機能を回復させる
ことが大切です。
足首の捻挫を甘く見ず、適切な診断・治療・リハビリを受けることで、将来も安心してスポーツや日常生活を楽しめる足首を目指しましょう。
足首の捻挫でお困りの際は、まつうら整形外科スポーツ・リハビリクリニックまでお気軽にご相談ください。
監修者情報
●まつうら整形外科スポーツ・リハビリクリニック
院長 松浦 孝紀
<診療内容>
整形外科・リハビリテーション科(スポーツ・ペインクリニック)・リウマチ科
<住所>
〒661-0976 兵庫県尼崎市潮江5丁目4番17号尼崎メディカルブリッジ1階
<TEL>
06-4950-0050
<診療時間>
9:30~12:30、15:30~18:30
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