2026年10月16日

みなさん、こんにちは。JR尼崎駅前の整形外科「まつうら整形外科スポーツ・リハビリクリニック」、院長:松浦孝紀(まつうらたかのり)です。
このコラムコーナーでは、一般的な整形外科診療でよくある症状についてはもちろんのこと、スポーツ外傷やスポーツ障害、関節リウマチ、骨粗しょう症などについて、患者さんのお役に立てる情報を発信していきたいと考えています。
はじめに
「ラケットを振ると肘の外側が痛む」
「荷物を持つと肘の内側に違和感がある」
「しばらく安静にしていたのに、また痛みが再発した」
このような症状でお悩みではありませんか?
スポーツを楽しむ方に多い肘のトラブルとして知られているのが、「テニス肘」や「ゴルフ肘」です。その名前から「テニスやゴルフをしている人だけの病気」と思われがちですが、実際には日常生活や仕事で腕をよく使う方にも起こります。
特に、パソコン作業やスマートフォンの使用、家事、育児など、手や腕を使う機会が多い方では、スポーツをしていなくても肘の痛みが生じることがあります。
肘の痛みを放置すると、スポーツのパフォーマンス低下だけでなく、日常生活にも支障をきたすことがあります。また、痛みがある状態で無理を続けることで、症状が長引く場合もあります。
今回は、テニス肘・ゴルフ肘の特徴や原因、予防のポイントに加え、スポーツによって起こるその他の代表的な肘の疾患について解説します。
テニス肘・ゴルフ肘とは?

テニス肘とは?
テニス肘は医学的には「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」と呼ばれます。
肘の外側にある、手首や指を伸ばす筋肉の腱が付着する部分に負担がかかることで、痛みが生じます。
代表的な症状としては、
・ペットボトルのふたを開けると痛い
・タオルを絞ると痛む
・フライパンを持つのがつらい
・バックハンドでラケットを振ると痛い
などがあります。
テニスのバックハンドやボレーの動作で起こりやすいことから「テニス肘」と呼ばれていますが、実際にはテニスをしていない方にも起こります。
ゴルフ肘とは?

一方、ゴルフ肘は医学的には「上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)」と呼ばれ、主に肘の内側に痛みが生じます。手首を曲げたり、前腕を内側にひねったりする動作で使われる腱に、繰り返し負担がかかることが原因の一つです。
主な症状には、
・ゴルフスイングで痛む
・重い荷物を持つと肘が痛い
・物を強く握れない
・肘の内側にズキズキした痛みがある
などがあります。
ゴルフスイング時の負担によって起こりやすいため「ゴルフ肘」と呼ばれますが、野球や筋トレ、日常生活動作でも発症することがあります。
これらの疾患は、単なる「炎症」だけでなく、腱の付着部に繰り返し負担がかかることで生じる微細な損傷や変化が関係していると考えられています。
なぜ繰り返しの動作が肘に負担をかけるのか?
肘には多くの筋肉や腱が集中している
肘の周囲には、手首や指を動かす筋肉の腱が付着しています。
テニスやゴルフでは、繰り返しラケットやクラブを振ることで、これらの筋肉や腱に強い負担がかかります。
適度な負荷であれば、身体には回復する力があります。しかし、負荷が繰り返され、回復が追いつかなくなると、腱の付着部に微細な損傷や変化が蓄積し、痛みにつながることがあります。
フォームの乱れが負担を増やす
スポーツでは、身体の使い方やフォームも肘への負担に影響します。
例えばテニスでは、
・手打ちになっている
・体幹を使えていない
・手首に頼ったスイングをしている
といった状態になると、肘への負担が集中します。

ゴルフでも、
・力みの強いスイング
・身体の回旋を十分に使えてない
・ダフリなど、地面から大きな衝撃を受ける動作の繰り返し
などによって肘に負担がかかることがあります。

回復が追いつかなくなる
練習量が多すぎたり、十分な休養を取らなかったりすると、筋肉や腱の修復が追いつかなくなることがあります。その結果、肘の付着部に負担が蓄積し、痛みが長引く原因になることがあります。
肘の故障につながる主な原因
肘に負担がかかる背景には、さまざまな要因があります。

オーバーユース(使いすぎ)
最も多い原因が「使いすぎ」です。
特に、
・急に練習量を増やした
・毎日長時間プレーしている
・休息日が少ない
という方は注意が必要です。
痛みが出ているにもかかわらず、十分な休息を取らずに無理を続けると、筋肉や腱の回復が追いつかなくなり、症状が悪化しやすくなります。
筋力不足や柔軟性低下
前腕や肩周囲、体幹の筋力不足も肘への負担に関係することがあります。
また、関節の動きや筋肉の柔軟性、身体の使い方なども、肘への負担に影響する場合があります。ストレッチや筋力トレーニングは、身体の状態に合わせて取り入れることが大切です。
道具が合っていない
スポーツ用品が身体に合っていないことも原因になります。
例えばテニスでは、
・ガットのテンションが強すぎる
・ラケットが重すぎる
・グリップサイズが合わない
といった要素が肘への負担を増やします。
ゴルフでも、クラブの硬さや重さが合わないことで痛みが出ることがあり、道具の見直しや、専門家によるフォームの確認が役立つ場合もあります。
加齢による腱の変性
年齢とともに腱の性質や回復力が変化することもあります。運動量や身体の使い方など、複数の要因が重なることで腱に負担が蓄積し、痛みがつながる場合があります。
ただし、年齢だけで痛みの原因が決まるわけではありません。
スポーツによって起こるその他の代表的な肘の疾患
野球肘
成長期の子どもに多くみられる障害です。投球動作の繰り返しにより、肘の骨や軟骨、靱帯に負担がかかります。初期には投球時の痛みなど軽い症状にとどまることもありますが、障害の種類や進行度によっては、長期の運動制限や手術が必要になる場合もあります。
肘の靱帯損傷
特に投球動作の多いスポーツで起こりやすい障害です。肘の内側にある靱帯に過度なストレスがかかり、部分断裂や完全断裂を起こすことがあります。
離断性骨軟骨炎
成長期のスポーツ選手に多くみられる疾患です。肘の関節内の軟骨や骨が傷つき、進行すると関節の変形につながることもあります。
肘部管症候群
肘の内側を通る神経が圧迫されることで、
・小指や薬指のしびれ
・握力低下
・指の動かしにくさ
などが起こります。
これらは原因や治療方法が異なるため、痛みの場所や症状、年齢、スポーツの種類などを踏まえて、適切に見極めることが大切です。特に、成長期のスポーツ選手や、しびれを伴う方は、早目に医療機関へご相談ください。
野球肘については次回のコラムで、さらに内容を掘り下げて記載します(今回のコラムでは簡潔に記載しています)
テニス肘・ゴルフ肘を放置するとどうなる?
痛みが慢性化する
初期の段階では運動時だけの痛みでも、症状が続くと、日常生活の動作でも痛みを感じるようになり、症状の長期化につながる可能性があります。
日常生活に支障が出る
症状が悪化すると、
・ドアノブを回せない
・洗濯物を干せない
・パソコン作業がつらい
など、日常生活にも影響が出ます。
パフォーマンス低下につながる
痛みをかばうことでフォームが崩れ、肩や手首など別の部位に負担がかかり、痛みが生じる場合もあります。

未然に防ぐためにできること
正しいフォームを身につける
肘障害の予防では、フォームや身体の使い方を見直すことが大切です。必要に応じて専門家の指導を受け、肘に負担が集中していないか確認することが、予防につながります。
練習量を調整する
「痛みがあるのに続ける」のは悪化の原因です。適切な休養を取りながら、身体を回復させることが重要です。特に成長期の子どもは無理をさせないことが大切です。
ストレッチと筋力トレーニング
前腕だけでなく、肩甲骨周囲、体幹、下半身も含めてバランス良く鍛えることが重要です。スポーツ前後のストレッチも欠かせません。
ただし、ストレッチや筋力トレーニングは、身体の状態や競技特性に合わせて行い、痛みが強くなる場合は無理をしないことが大切です。
サポーターや装具を活用する
肘用バンドやサポーターは、腱への負担軽減に役立ちます。ただし、装具だけに頼るのではなく、原因そのものへのアプローチが重要です。
早めに受診する
「少し痛いだけだから」と放置せず、早めに整形外科を受診することで要因に応じた適切な対応につながります。
特に、
・数週間以上痛みが続く
・力が入りにくい
・夜間痛がある
・しびれを伴う
場合には注意が必要です。
整形外科で行う検査と治療
問診・診察
痛みの場所やスポーツ歴、動作時の症状を詳しく確認します。肘のどの部分に負担がかかっているのかを評価し、原因を探ります。
画像検査
必要に応じて、
・レントゲン
・超音波検査
・MRI検査
などを行い、骨や腱、靱帯の状態を確認します。
保存療法
多くの場合、まずは保存療法を行います。
・安静
・湿布や内服薬
・リハビリ
・ストレッチ指導
・装具療法
などを組み合わせ、痛みの改善を目指します。
リハビリテーション・物理療法
症状や身体の状態に応じて、物理療法を取り入れることもあります。具体的には、対外衝撃波や超音波などの機器を使用する場合があります。これらは症状た適応を踏まえて選択します。
また再発予防にはリハビリが非常に重要です。
筋力や柔軟性、フォーム改善まで含めてサポートすることで、スポーツ復帰を目指します。
注射治療
症状によっては注射治療を検討することもあります。
ただし、一時的に痛みが軽減しても、根本原因への対応も必要です。
スポーツを長く楽しむために
スポーツによる肘の痛みは、「頑張っている証拠」と軽視されがちです。
しかし、痛みは身体からの重要なサインです。無理を続けることで、競技継続が難しくなるケースもあります。一方で、早期に適切な治療やリハビリを行えば、多くの場合は改善が期待できます。
当院では、日本整形外科学会整形外科専門医、日本整形外科学会スポーツ認定医、Functional Movement Screen(FMS)ならびに
Selective Functional Movement Assessment(SFMA)資格を有している医師が診察を行い、スポーツ障害の診断・治療に対応し、
運動リハビリが必要な患者には、FMS/SFMAの資格を持っている理学療法士が、各疾患の治療に対応しています。
患者さま一人ひとりの症状や競技特性に合わせて、
・再発予防
・フォーム改善
・スポーツ復帰支援
まで含めてサポートいたします。
「肘の痛みがなかなか治らない」「繰り返し再発する」「安心してスポーツを続けたい」という方は、お早めに、まつうら整形外科スポーツ・リハビリクリニックにご相談ください。
当院での診療について
当院では、スポーツ医療の専門資格を持つ医師が、ケガの状態を丁寧に評価し、症状や競技特性に応じた適切な治療を行います。
リハビリテーションは、動きや身体の使い方に精通した理学療法士(FMS/SFMA資格者)が担当します。単に痛みを取るだけでなく、フォームや身体機能を評価しながら、競技へのスムーズな復帰と再発予防までしっかりサポートします。
また、症状や治療段階に応じて物理療法を活用できるよう、体外衝撃波治療機器、ハイボルテージ治療や微弱電流治療に対応した低周波治療機器、組織の修復促進を目的とした超音波治療機器などを導入しています。
医師とリハビリスタッフが連携し、チーム医療として一人ひとりに最適な治療を進めていきます。
監修者情報
●まつうら整形外科スポーツ・リハビリクリニック
院長 松浦 孝紀
<診療内容>
整形外科・リハビリテーション科(スポーツ・ペインクリニック)・リウマチ科
<住所>
〒661-0976 兵庫県尼崎市潮江5丁目4番17号尼崎メディカルブリッジ1階
<TEL>
06-4950-0050
<診療時間>
9:30~12:30、15:30~18:30
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