2026年6月14日

みなさん、こんにちは。JR尼崎駅前の整形外科「まつうら整形外科スポーツ・リハビリクリニック」、院長:松浦孝紀(まつうらたかのり)です。
このコラムコーナーでは、一般的な整形外科診療でよくある症状についてはもちろんのこと、スポーツ外傷やスポーツ障害、関節リウマチ、骨粗しょう症などについて、患者さんのお役に立てる情報を発信していきたいと考えています。今回は、スポーツ障害である疲労骨折について、前回のコラムより、もう少し掘り下げて説明します。

はじめに
スポーツを頑張っている方の中には、「運動すると特定の場所が痛む」「休めば少し良くなるが、また運動すると痛い」といった症状を経験したことがある方も多いのではないでしょうか。
このような症状の原因として考えられるのが「疲労骨折」です。疲労骨折は、激しい衝撃による骨折とは異なり、同じ部位に繰り返し負荷がかかることで徐々に骨にダメージが蓄積し、骨にヒビが入る状態を指します。
部活動に励む学生から、ランニングやトレーニングを行う社会人まで、幅広い年代で発生する可能性があります。初期の段階では痛みが軽いため見過ごされることもありますが、無理をして運動を続けると症状が悪化し、長期間の運動制限が必要になることもあります。 今回のコラムでは、疲労骨折の特徴や原因、予防方法、そしてスポーツを続けながらケガを防ぐためのセルフケアについて、整形外科医の視点からわかりやすく解説していきたいと思います。
疲労骨折とは?
疲労骨折とは、骨に繰り返し小さな負荷が加わることで、骨の一部にヒビが入る状態を指します。
通常の骨折は、転倒や衝突などの強い衝撃によって起こります。しかし疲労骨折の場合は、日々の運動やトレーニングによって少しずつ骨にダメージが蓄積し、最終的に骨が耐えきれなくなって発生します。
骨は常に「壊れる」と「修復する」を繰り返しています。運動によって骨に微細な損傷が生じても、適切な休息をとることで修復されます。しかし、

・練習量が多すぎる
・休養が十分に取れていない
・急激に運動量が増えた
といった状況が続くと、骨の修復が追いつかなくなり、疲労骨折が起こるのです。特にランニングやジャンプなど、同じ動作を繰り返すスポーツでは、疲労骨折が起こりやすい傾向があります。
疲労骨折の特徴や症状
疲労骨折は、通常の骨折と違って「徐々に症状が現れる」という特徴があります。
初期症状
疲労骨折の初期には、次のような症状が見られることがあります。
・運動すると特定の場所が痛む
・運動後に痛みが強くなる
・押すと痛みがある
・休むと痛みが軽くなる この段階では、筋肉痛や軽い炎症だと思って運動を続けてしまう方も少なくありません。
症状が進行すると
症状が進むと、次のような状態になることがあります。
・運動していないときでも痛む
・患部が腫れる
・歩くと痛い
・体重をかけると痛みが強くなる
この段階になると、骨の損傷が進んでいる可能性があり、早期の診断と治療が必要になります。
疲労骨折が起こりやすい部位
疲労骨折は全身の骨に起こる可能性がありますが、特にスポーツで負担がかかりやすい部位に多く発生します。

すね(脛骨)
最も多い疲労骨折の部位の一つです。ランニングやジャンプを繰り返すことで、すねの骨に負担が集中します。特に以下のスポーツで多く見られます。
・陸上競技
・サッカー
・バスケットボール
・バレーボール
足の甲(中足骨)
長距離ランナーやサッカー選手などに多く見られます。足の甲の骨は体重を支える役割があり、ランニングの繰り返しによって負担が蓄積します。
腰椎(腰の骨)
体を反らす動作を繰り返すスポーツでは、腰椎に疲労骨折が起こることがあります。特に成長期の選手に多く見られる「腰椎分離症」は、腰椎の疲労骨折の一種です。
<多く見られる競技>
・野球
・体操
・サッカー
・バレーボール
大腿骨や骨盤
長距離ランニングや激しいトレーニングによって、大腿骨や骨盤に疲労骨折が起こることもあります。これらは比較的まれですが、発見が遅れると治療期間が長くなることがあります。
疲労骨折が起こる原因
疲労骨折には、さまざまな要因が関係しています。
トレーニング量の増加
練習量や運動強度が急激に増えると、骨への負担が大きくなります。例えば、
・新しい競技を始めた
・大会前で練習量が増えた
・ランニング距離を急に伸ばした
といった場合に起こりやすくなります。
筋力や柔軟性の不足
筋肉は骨への衝撃を吸収する役割があります。筋力が不足していると、その衝撃が直接骨に伝わりやすくなります。また、筋肉の柔軟性が低いと動きが制限され、骨や関節に負担が集中することがあります。
不適切な動作・フォーム
間違った動作・フォームで運動を続けると、特定の部位に負担が集中します。特にランニングや投球など、同じ動作を繰り返すスポーツではフォームの影響が大きくなります。
成長期の影響
成長期の骨はまだ完全に成熟していないため、繰り返しの負荷に弱い場合があります。部活動などで練習量が多い学生は、特に注意が必要です。
疲労骨折を未然に防ぐために
疲労骨折は、日頃の運動習慣を見直すことで予防できる場合も多くあります。
トレーニング量を段階的に増やす
運動量を急激に増やすと、骨や筋肉が負荷に適応できません。
目安としては、運動量は週に10%以内の増加が望ましいとされています。
適切な休養をとる
トレーニングと同じくらい重要なのが休養です。休養によって骨や筋肉の修復が行われます。毎日の練習だけでなく、定期的に休息日を設けることが大切です。
クッション性の高いシューズを使用する
ランニングやジャンプの衝撃を軽減するためには、適切なシューズ選びも重要です。特に以下のポイントを確認しましょう。
・足に合ったサイズ
・十分なクッション性
・競技に適した設計
栄養バランスを整える
骨の健康には栄養も重要です。特に次の栄養素を十分に摂取することが大切です。
・カルシウム;骨の材料そのもの
・ビタミンD;カルシウムの吸収を助ける,
・ビタミン K;骨にカルシウムを定着させる
・タンパク質;骨や筋肉の材料
食事を抜いたり極端なダイエットをしたりすると、骨の強度が低下する可能性があります。
バランスの良い食事を心がけましょう。
スポーツを続けながらケガをしないためのセルフケア
スポーツを長く続けるためには、日常的なセルフケアが非常に重要です。

運動前のウォーミングアップ
ウォーミングアップは筋肉や関節を温め、ケガのリスクを減らします。軽いジョギングや動的ストレッチを行い、体を徐々に運動に慣らしましょう。
運動後のストレッチ
運動後は筋肉が疲労し、硬くなりやすい状態です。ストレッチを行うことで筋肉の柔軟性を保ち、負担を軽減できます。特に次の部位のストレッチは重要です。
・ふくらはぎ
・太もも
・股関節
・腰
体の違和感を見逃さない
疲労骨折は、初期の段階では軽い違和感として現れることが多いです。次のような症状がある場合は注意しましょう。
・同じ場所に繰り返し痛みが出る
・運動後に痛みが残る
・押すと痛い場所がある
無理をして運動を続けると、回復までに長い時間がかかることがあります。
痛みが続く場合は整形外科を受診しましょう
疲労骨折は、早期に診断し適切な治療を行うことで、重症化を防ぐことができます。
専門医と専門スタッフ(理学療法士)による
・早期の正確な診断
・適切な治療
・再発予防のためのリハビリ
が大切です。スポーツ時に痛みがある場合は、早めに専門医に相談してください。
当院での診療について
当院では、スポーツによるケガの診療にも力を入れ、競技復帰と再発予防までを見据えた医療を提供しています。
日本整形外科学会整形外科専門医、日本整形外科学会スポーツ認定医、いたみ専門医、Functional Movement Screen(FMS)ならびにSelective Functional Movement Assessment(SFMA)資格を有している医師が診察を行い、スポーツ障害の診断・治療に対応し、運動リハビリが必要な患者には、FMS/SFMAの資格を持っている理学療法士が、各疾患の治療に対応しています。
腰椎分離症も含めた疲労骨折は、単なる“使いすぎ”だけではなく、身体の動作パ-ターン異常や柔軟性低下、体幹・股関節機能不全などが背景に存在することがあります。SFMAを用いることで疼痛部位だけではなく、運動機能連鎖全体を評価し、負担の原因分析や再発予防に役立てています。患者さま一人ひとりの症状や競技特性に合わせて、リハビリを行います。単に痛みを取るだけでなく、フォームや身体機能を評価しながら、競技へのスムーズな復帰と再発予防までしっかりサポートします。
また、急性期から慢性期まで幅広く対応できるよう、骨癒合の促進を目的とした超音波治療機器、ハイボルテージ治療や微弱電流治療が可能な低周波治療機器など、先進的な医療機器を導入しています。医師とリハビリスタッフが連携し、チーム医療として一人ひとりに最適な治療を進めていきます。
●まつうら整形外科スポーツ・リハビリクリニック
<診療内容>
整形外科・リハビリテーション科(スポーツ・ペインクリニック)・リウマチ科
<住所>
〒661-0976 兵庫県尼崎市潮江5丁目4番17号尼崎メディカルブリッジ1階
<TEL>
06-4950-0050
<診療時間>
9:30~12:30、15:30~18:30
<休診日>
木・土曜日午後、日曜祝日