2026年4月09日

みなさん、こんにちは。JR尼崎駅前の整形外科「まつうら整形外科スポーツ・リハビリクリニック」院長の松浦孝紀(まつうらたかのり)です。
このコラムコーナーでは、一般的な整形外科診療でよくみられる症状はもちろんのこと、スポーツ外傷・スポーツ障害、関節リウマチ、骨粗しょう症などについて、患者さんのお役に立てる情報を発信していきたいと考えています。
はじめに

スポーツ中や運動後に、「少し違和感がある」「使うと痛い」と感じたことはありませんか?その症状、放置していると悪化してしまう可能性があります。スポーツによるその痛みは、繰り返しの負担によって起こる「スポーツ障害」かもしれません。このようなスポーツ障害は、部活動に励む学生から、趣味でスポーツを楽しむ社会人、競技レベルのアスリートまで、幅広い年代で発生する可能性があります。
今回のコラムでは、スポーツ障害の仕組みや代表的な疾患、予防方法について、整形外科医の視点からわかりやすく解説します。
当院長は、日本整形外科学会整形外科専門医・スポーツ認定医の資格に加えFMS(Functional Movement Screen)/SFMA(Selective Functional Movement Assessment)を習得しており、スポーツ現場で起こる障害に対する診断・治療から、競技復帰支援、再発予防まで対応しています。
スポーツ障害とは?
スポーツによるケガには、大きく分けて「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」の2種類があります。 (前回の医療コラムでは、スポーツ外傷について解説しました)
スポーツ障害とは、スポーツや運動の繰り返しによって体の特定の部位に負担が蓄積し、痛みや炎症、機能障害が起こる状態を指します。
スポーツ障害
同じ動作の繰り返しによって、徐々に起こる慢性的な障害です。
(例)
・靭帯・腱の付着部の炎症(野球肘、テニス肘、膝蓋腱炎など)
・関節の障害(離断性骨軟骨炎、滑膜ひだ障害など)
・疲労骨折
一方、スポーツ外傷は、転倒や衝突など「1回の大きな力」によって起こるケガで、骨折・脱臼・靭帯損傷・打撲などが含まれます。
スポーツ外傷は突然起こるのに対し、スポーツ障害は「徐々に進行する」という特徴があります。そのため、初期には軽い違和感程度のことも多く、気付かないまま悪化してしまうケースも少なくありません。
オーバーユースはなぜ起こる? なぜ自分では気付かない?
スポーツ障害の多くは、オーバーユース(使いすぎ)が原因です。
オーバーユースとは
筋肉や腱、骨、関節などに同じ負荷が繰り返し加わることで、組織の修復が追いつかなくなる状態を指します。
通常、体は運動による軽いダメージを休息によって回復させますが、
・練習量が多すぎる
・休養が不足している
・フォームが適切でない
・柔軟性が低い
などの条件が重なると、回復が追いつかなくなり、炎症や損傷が蓄積していきます。
なぜ気付きにくいのか
オーバーユースによる障害は、次のような理由で見過ごされやすい傾向があります。
1. 痛みが徐々に強くなる
初期は 「少し違和感がある」 「運動後に少し痛む」 といった軽い症状が多く、運動を続けてしまいがちです。
2. 運動中は痛みが軽減することがある
体が温まることで、一時的に痛みを感じにくくなり、 「動けば大丈夫」 と考えてしまい、練習を続けてしまうケースがあります。
3. 成長期の選手は特に多い
子どもや中高生は骨や筋肉が発育途中であるため、負担がかかりやすい時期です。特に部活動などで練習量が多い場合、知らないうちにオーバーユースになっていることもあります。
スポーツ障害を起こしやすい運動器
スポーツ障害は、体のさまざまな部位に起こりますが、特に負担が集中しやすいのは以下の運動器です。

肩関節
肩は可動域が非常に広い関節であり、特に投球動作の多いスポーツでは負担が集中します。
<代表的なスポーツ>
・野球
・テニス
・バレーボール
・水泳
肘関節
投げる動作を繰り返すことで、肘の内側や外側に強いストレスがかかります。
特に野球では、野球肘として知られる障害が多く見られます。
<代表的なスポーツ>
・野球
・テニス
膝関節
膝は体重を支える重要な関節であり、ジャンプやランニングの動作で大きな負担がかかります。
<代表的なスポーツ>
・サッカー
・バスケットボール
・陸上競技
・バレーボール
足部・足関節
ランニングやジャンプなどの繰り返しによって、足の骨や腱に負担が蓄積します。特にランニングを行う方では、疲労骨折や腱炎が起こりやすい傾向があります。
<代表的なスポーツ>
・バスケットボール
・サッカー
・陸上競技
・バレーボール
スポーツ障害の代表的な疾患
ここでは、整形外科でよく見られるスポーツ障害の代表的な疾患を紹介します。
野球肩
野球肩は、投球動作を繰り返すことで肩関節に炎症や損傷が生じる障害です。
<主な症状>
・ボールを投げると肩が痛い
・腕を上げると痛む
・肩の可動域が制限される
特に成長期の選手では、骨端線(成長軟骨)に負担がかかることで障害が起こることがあります。
野球肘
野球肘は、投球動作によって肘関節に過度なストレスが加わることで起こる障害です。
<主な症状>
・投球時の肘の痛み
・肘の曲げ伸ばしの制限
・肘の違和感
進行すると、骨や軟骨の損傷につながることがあります。
ジャンパー膝(膝蓋腱炎)
ジャンプ動作を繰り返すことで、膝のお皿の下にある腱(膝蓋腱)に炎症が起こる疾患です。
<主な症状>
・膝のお皿の下の痛み
・ジャンプや着地時の痛み
・運動後の痛み
<多く見られる競技>
・バレーボール
・バスケットボール
・陸上競技
シンスプリント
シンスプリントは、すねの内側に痛みが生じるスポーツ障害です。特にランニングやジャンプを繰り返す競技で多く見られます。
<原因>
・筋肉の過度な使用
・柔軟性不足
・練習量の急激な増加
進行すると疲労骨折につながることもあるため注意が必要です。
<多く見られる競技>
・サッカー
・陸上競技
疲労骨折
疲労骨折は、小さな負荷が繰り返し加わることで骨にヒビが入る状態です。
<よく起こる部位>
・すねの骨(脛骨)
・足の甲
・腰椎 <主な症状>
・運動時の局所的な痛み
・押すと痛む
・運動を休むと軽減する
早期に適切な治療を行うことが重要です。

スポーツ障害への具体的な対策
スポーツ障害が疑われる場合、無理をして運動を続けることは症状の悪化につながります。以下のような対策が重要です。
早期の受診
次のような症状がある場合は、整形外科の受診をおすすめします。
・運動すると同じ場所が痛む
・痛みが数週間続いている
・腫れや可動域制限がある
早期に診断を受けることで、重症化を防ぐことができます。
適切な休養
炎症が起きている場合、まずは患部を休ませることが重要です。運動量を調整し、必要に応じて一時的にスポーツを中止することで回復を促します。
リハビリテーション
整形外科では、症状や原因に応じたリハビリテーションを行います。
<主な内容>
・ストレッチ・柔軟性の強化
・筋力トレーニング
・動作・フォーム改善
再発予防のためにも、専門的な指導を受けることが大切です。
障害を未然に防ぐための予防策
スポーツ障害は、日常の工夫によって予防できる場合も多くあります。
運動前のウォーミングアップは、筋肉や関節を温め、ケガを予防する重要な習慣です。
また、運動後のクールダウンやストレッチも疲労回復に役立ちます。
柔軟性を高める
筋肉の柔軟性が低いと、関節に余分な負担がかかります。
特に以下の部位のストレッチは重要です。
・太もも
・ふくらはぎ
・股関節
・肩周囲
・足関節
練習量を急激に増やさない
トレーニング量の急激な増加は、スポーツ障害の大きな原因になります。目安としては週あたり10%以内の増加が望ましいとされています。
正しい動作・フォームを身につける
不適切な動作・フォームは、体の特定の部位に負担を集中させます。指導者や専門家によるフォームチェックは、障害予防に非常に効果的です。

スポーツによる痛みは早めに整形外科へ
スポーツ障害は、オーバーユースによって徐々に進行するため、初期の段階では軽い違和感として見過ごされることがあります。しかし、そのまま運動を続けると、慢性的な痛みや競技パフォーマンスの低下につながることもあります。
スポーツ障害は、専門医と専門スタッフ(理学療法士)による
・早期の正確な診断
・適切な治療
・再発予防のためのリハビリ
が大切です。スポーツ時に痛みがある場合は、早めに専門医に相談してください。
当院での診療について
当院では、スポーツによるケガ・障害の診療に力を入れ、競技復帰と再発予防までを見据えた医療を提供しています。スポーツ医療の専門資格を持つ医師が、ケガ・障害の状態を丁寧に評価し、症状や競技特性に応じた適切な治療を行います。
リハビリテーションは、動きや身体の使い方に精通した理学療法士(FMS/SFMA資格者)が担当します。単に痛みを取るだけでなく、フォームや身体機能を評価しながら、競技へのスムーズな復帰と再発予防までしっかりサポートします。
また、急性期から慢性期まで幅広く対応できるよう、ハイボルテージ治療や微弱電流治療が可能な低周波治療機器、障害のある組織の治癒促進を目的とした超音波治療機器など、先進的な医療機器を導入しています。医師とリハビリスタッフが連携し、チーム医療として一人ひとりに最適な治療を進めていきます。
スポーツ障害は緩やかに進行することが多く、症状が悪化するまで、受診されないケースも少なくありませんが、早期の医療機関での正確な診断と治療がとても重要です。「そのうち治るだろう」と放置してしまうと、痛みが長引いたり、パフォーマンスの低下につながることもあります。
スポーツを安心して続けるためには、体の小さな変化を見逃さず、体の痛みが出た際には無理をせず、しっかりと治療を受けることが大切です。
さらに、障害を起こさない体づくりに取り組むことも、長くスポーツを楽しむための重要なポイントとなります。
スポーツ時の痛みでお困りの方は、どうぞお気軽に当院へご相談ください。
●まつうら整形外科スポーツ・リハビリクリニック
<診療内容>
整形外科・リハビリテーション科(スポーツ・ペインクリニック)・リウマチ科
<住所>
〒661-0976 兵庫県尼崎市潮江5丁目4番17号尼崎メディカルブリッジ1階
<TEL>
06-4950-0050
<診療時間>
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