
症状から探す
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脊椎(頚椎)の骨と骨の間には椎間板という円形状の線維軟骨があり、衝撃を吸収したり、脊椎を安定化したりする役割を担っています。この椎間板の組織が変性し、中身が突出して脊髄や神経根を圧迫してしまう病気が頚椎椎間板ヘルニアです。脊髄が圧迫されると首、肩、腕の痛みのほか、手足にしびれが生じ、進行すると下半身にもしびれや麻痺を起こします。排尿排便障害を来すこともあります。自然治癒することもありますが、急速に重症化することもあるため手術でヘルニアを含む損傷した椎間板を切除して圧迫を取り除くこともありますが、一方、神経根が圧迫されている場合、左右いずれかの首、肩、腕に痛みやしびれ、麻痺が生じますが、多くの場合、手術をせずに数ヶ月で回復します。その治療では、薬物療法や神経ブロック療法、頚椎を支える装具療法を行い、温熱療法、ストレッチ、牽引などのリハビリで苦痛の軽減を図ります。
手の使いすぎによって指や手首の関節などに痛みが生じる疾患です。手首の母指(親指)側では、腱鞘(けんしょう)と、その部分を通過する腱の間で摩擦が起こり、手首の母指側が痛んだり、腫れたりします。安静にして手を使わなければ腫れは引きますが、使い続けると腫れや痛みが強くなります。スポーツや仕事で指を多く使う方、更年期の女性によくみられます。腱鞘炎によって腱鞘が狭くなったり、腱が腫れたりすると、曲げた指を伸ばそうとした時にカクンとばねのように跳ねることがあります。この症状を「ばね指」と呼びます。母指、中指、環指(薬指)によくみられます。腱鞘炎(ばね指)の治療は、局所の安静、投薬、腱鞘内ステロイド注射などの保存的療法が行われます。保存的治療で改善しない場合、腱切開手術等が検討されます。
中年以降、とくに50歳を過ぎたころに症状が出現しやすいため五十肩とも呼ばれています。加齢や過労により、肩関節を包む袋(肩関節包)の中で炎症が起こることによって、痛みが生じると考えられています。自然に治癒することもありますが、ときに夜間痛で眠れなくなったり、腕を高く上げることや回すことが困難になったりして日常生活に支障がでてきます。関節が癒着して動かなくなることもあります。急性期は安静と、消炎鎮痛剤の内服や痛み止めの注射で痛みを緩和します。急性期を過ぎてからはホットパックなどの温熱療法、また、拘縮(こうしゅく)予防や筋肉を強化するための理学療法・物理療法を行います。
腰痛の多くは、腰椎(腰の背骨)や脊柱起立筋群(筋膜性)に負担がかかることで起こります。腰痛症には、急性腰痛症と慢性腰痛症があり、腰痛が発症してから1ヶ月以内のものを急性腰痛症、3ヶ月以上続く腰痛症のことを慢性腰痛症といい、それぞれ治療が異なります。急性の筋膜性腰痛症の場合は、一時的な安静で治癒しますが、安静にしていても痛みが軽くならない、あるいは悪化する、発熱がある、しびれて力が入らない、といった症状を伴う場合は、放置せずに早めに整形外科を受診してください。また慢性腰痛については、理学療法で胸郭や股関節の柔軟性や体幹筋力を獲得することにより、改善することがあります。
変形性股関節症は、先天性の疾患や外傷によって関節に過度な負担がかかり、軟骨の破壊や軟骨と骨に変形が起きる疾患です。多くは、先天性股関節脱臼や先天性臼蓋形成不全などの発育性股関節形成不全が原因となりますが、加齢変化や体重増加によって発症するケースもあります。女性に多くみられる疾患です。痛みが少なく、日常生活にも不自由がない場合は、保存的治療を選択し、股関節周囲の筋肉を鍛える運動療法が中心となり、炎症や痛みを抑える薬剤を用いることもあります。保存的治療で改善しない場合、股関節をインプラントに置き換える人工股関節置換術等が検討されます。
変形性膝関節症は、日本人では比較的女性に多くみられ、高齢になるほど罹患率が高くなります。主な原因は加齢による軟骨の質の低下で、軟骨がすり減ったりして膝が変形し(日本人ではO脚が多い)、痛みや腫れが生じます。骨折・外傷などの怪我や半月板損傷の後遺症として発症することもあります。また、膝関節には体重の数倍の負荷がかかり、肥満も要因の一つになります。初期の症状は、立ち上がりや歩き始めの動作で痛みを生じる程度ですが、進行すると歩行や階段の昇降、膝の屈伸が難しくなり、痛みも増して日常生活に大きな影響がでてきます。膝に水がたまることもあります。初期や軽度の場合、運動療法や薬物療法(鎮痛剤やヒアルロン酸注射)で痛みを軽減し、日常生活を送ることが可能です。膝を温めるホットパックや低周波などの消炎鎮痛療法、膝を安定させるためのサポーターや足底板(足下の中敷)などの装具療法が有効なこともあります。重度の場合は手術治療を検討します。手術には骨を切る矯正手術や人工膝関節置換術などがあります。
捻挫とは、関節に外力がかかり靱帯や腱などの軟部組織が損傷することをいいます。X線検査で、骨折や脱臼などの異常が認められない関節の怪我の多くは、捻挫という診断になります。典型的な足関節の捻挫は、足首を内側にひねることによって生じる内反捻挫で、外側にある靱帯が、引き伸ばされたり、一部が切れたりすることで起こります。靭帯の損傷の程度は1~3度に分類され、1度(軽症)は靭帯が伸びたり、ごく一部が断裂したりする程度の損傷で、軽度の腫れと圧痛はありますが、不安定性(関節のぐらつき)はありません。2度(中等症)は、靭帯の断裂が不完全で関節の不安定性はありませんが、広い範囲の腫れと圧痛があります。3度(重症)は、靭帯が完全に断裂し、強い腫れと圧痛があり、皮下出血や関節の不安定性がみられます。1~2度捻挫では、「RICE処置※」と呼ばれる応急処置を行い、腫れや損傷部位の拡大、内出血などを抑えることができます。3度ではRICE処置を行い、さらに2~3週間固定することがあります。基本的には保存的治療が選択されますが、不安定性が残存する場合は手術が検討されます。
※RICE処置
Rest(安静) Ice(冷却) Compression(圧迫)Elevation(挙上)
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